※本コンテンツは中部電力が発行する地域振興情報誌『FRONT』第32号にも掲載されています。





[福祉から雇用へ、法定雇用率1.8%の壁]
 障害者の雇用は法律によって定められた企業の義務です。その歴史は古く昭和35年の「身体障害者雇用促進法」の施行にさかのぼります。その後、何度か法改正が行われ、昭和63年には障害者雇用率が法的に決められました。身体障害者だけでなく、平成10年には知的障害者、18年には精神障害者が雇用義務に加えられ、今では発達障害者も対象となっています。このように障害者雇用は、障害者自立支援法と改正障害者雇用促進法によって守られています。
 当然のことながら、事業主は一定の割合に相当する人数以上の身体障害者、知的障害者、精神障害者を雇用しなければなりません。これが障害者雇用率あるいは法定雇用率で、1.8%と定められています。しかし現実は、全国の実雇用率が1.59%、法定雇用率を達成している企業は41.7%に過ぎません。そこで国は、これまで福祉に重点が置かれていた障害者雇用を「福祉から雇用へ」と政策転換し、障害者の雇用機会の確保や働く意欲のある障害者の就職活動を支援する就労ネットワーク充実に取り組んでいます。障害者の法定雇用率を達成していない事業主に対しては勧告を行い、指導による改善が見られなかった場合は企業名公表の措置がとられます。



[障害者雇用を支える納付金制度と特例子会社]
 しかし実際には、障害者を雇用する意欲はあっても、「どんな仕事を担当させればよいか」「障害に応じた職場の配慮事項がわからない」といった不安をかかえる事業主が多いのも事実です。そこで、国や自治体は障害者雇用を支援するさまざま機関と制度を設けて障害者の職場適応を促しています。そのひとつが「障害者雇用納付金制度」で、障害者雇用率に相当するまで雇用していない企業は不足員数1人当たり月額5万円を納付しなければなりません。現行は301人以上の常用雇用労働者数規模の事業所が対象ですが、平成22年7月からは201人以上に、平成27年4月からは101人以上の事業所に引き下げられます。また、事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、その子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなすことのできる「特例子会社制度」もあります。
 わが国の障害者数は、在宅者及び施設入所者を合わせて約724万人と推計されていますが、実際に常用雇用されている身体障害者は全国で約37万人に過ぎません。ハローワークにおける障害者職業紹介状況を見ると、10万件を超える新規求職件数に対し就職件数は半数以下に留まっているのが実情です。障害者の多くが、その適性と能力に応じた職業に就き、生き甲斐を感じて充実した生涯を過ごせることを望んでいます。働く意欲と能力を持ちながら障害があるというだけで雇用されないということがあってはなりません。「福祉から雇用へ」の流れは「共生社会」実現の試金石といえるでしょう。

*独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構ホームページ
http://www.jeed.or.jp/



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